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般若心経の空とはなにか

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(37)般若心経の誕生を促した2つの要素

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(37)般若心経の誕生を促した2つの要素

今日は10日になりましたが、新年のご挨拶を申し上げます。
     新年、明けましてお目出とうございます。
     今年も、良い年になりますようお祈り致します。

このブログは2015年4月から始めました。当初は20回もあれば終わるだろうと思っていたのに、いつの間にか(36)回にもなり、まだ続きます。そろそろ手仕舞したいのですが、どうしても欠かせないテーマがまだ2つあるので、もう少しお付き合い下さい。

 般若心経の誕生を促した一つの要素は「お釈迦さま入滅されて約800年後に、何故、般若心経が書かれたのか」という事です。

私の知識はいわば「素人の学び」で、専門家に教えを受ける事なく、自分で考え、必要と感じた本を読み蓄積してきたものです。専門家のように、考えた事、書いた事の出典を明示出来る代物でありません。一時期、師事出来る学者を探そうとしたのですが、生活の糧としての仕事を放棄する訳にいかないのでやめました。

そんな素人の私がある時直感したのは、般若心経誕生とほぼ同時期に出現した「唯識」、「唯識仏教」が般若心経誕生を触発したのではないかという事です。唯識の論理は、お釈迦さまが説かれた「心」、「輪廻する魂あるいは我(アートマン)」の構造と機能を明快に説き明かしました。それは部派仏教の六根、六境(十二処)、六識(十八界)についても同様です。

唯識の教義は恐らく西欧で近代になって誕生した深層心理学(ユング)や潜在意識学(フロイト)に先駆けとなる論理を提供していたのではないか、と私は思います。

 龍樹が完成した「空」を中心とする中観派を未完の教義として批判した、唯識の中枢を担う瑜伽行派が主導する唯識仏教の興隆が、般若心経誕生を触発したのではないかと、私は考えたのです。
 般若心経の作者は、お釈迦さまが説かれた心と輪廻する魂の構造を論理的に明快に解明した唯識仏教の教義を尊重しつつ、その論理の中に構成された、お釈迦さまの空の理法に反する要素(五姓各別のひとつ無姓有情の無姓)を危惧して、空の理法と修行上の実績を、それまでの仏教史を俯瞰しつつ確認するために書かれたのでは、と私は思うのです。

 もう一つの要素は、唯識仏教には修行者済度のための修行法があるだけで、それまでの大乗仏教が築いてきた「一切衆生済度の要素が欠落」していると考えられる事です。

唯識仏教は部派仏教(小乗仏教)と同様、修行による済度を主張し、修行者のための「唯識観」という瞑想の体系を確立した。それに対してお釈迦さまなき後の大乗仏教は菩薩思想を教義に取り入れ、菩薩による一切衆生済度の教義を完成していた。これが後に、阿弥陀仏への帰依(南無阿弥陀仏の「南無」とはサンスクリット語の「ナーモ」の音写語で、「帰依する」とか「帰命する」の意味です。)、妙法(深甚微妙な真理→空)への帰依、あるいは座禅による空の真理への修行となったと考えられる。しかし唯識仏教にはこうした一切衆生済度の仕組みに欠けているのです。

 般若心経の作者は唯識仏教のこうした欠落をただすべく、本来、一定の修行者のみにその師によって秘密に伝達されるだけの秘儀としての呪のうち、「最強の呪」を、修行者を含む一切衆生に公開した済度の仕組みとして般若心経に与えたのでは、とは私は思うのです。
 以上、二点について若干、回数を頂いて私の考えを引き続き明らかにしていきます。

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