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般若心経の空とはなにか

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最近読んだ本の中から -すぐれた科学者とは-

 最近、町山智浩著「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」という本を読みました。ふだん、新聞や雑誌、テレビで報道されない、アメリカの内情というか、実像を知らされた感じで、大変面白い本でした。
 この本の中に、科学と科学者について書かれた部分があります。内容を「   」でくくりながら紹介します。

 「アメリカの知識人階級と大衆のあいだに巨大で不健全な断絶があることが明白になった」と1952年にタイム誌が報じたそうです。これは今日も同じ状況にあるそうです。
 「アメリカ人は単に無知なのではない。その根には ''無知こそ善'' とする思想、反知性主義があるのだ」。「1963年の名著『アメリカの反知性主義』で歴史学者リチャード・ホフスタッカーは、アメリカ人の知識に対する反感の原因のひとつにキリスト教福音主義を挙げている。福音主義とは福音、つまり聖書を一字一句信じようとする生き方で(特に過激なのは聖書原理主義と呼ばれる)、自らを福音派とするアメリカ人は全人口の3割を占めている。彼らにとって余計な知識は聖書への疑いを増すだけであり、より無知なものほど聖書に純粋に身を捧げることができる」。こうした事情もあるので「アメリカの成人の2割は、太陽が地球の周りを回っていると信じている、という調査結果がある」。
 そして「アメリカ人の45%、つまり2人に1人が進化論やビッグバンによる宇宙の起源を信じないという結果が出た。これがかつて世界をリードしていた科学の国アメリカの実態だ」。

 「こうした中で反対の多いES細胞研究についてES細胞の研究を止めてはいけないと福音派を説得し続ける科学者兼、宗教家がいる。国際ヒトゲノム解読計画の代表、フランシス・コリンズ博士だ。彼はDNAに書かれた人間の設計図であるゲノムを解読するという、まさに神の領域を侵す計画を率いながら、敬虔な福音派としての信仰告白の書『神の言葉/科学者による信仰の証』を著した」。

「コリンズはかつて神よりも科学を信じる医学者だったが、27才で医師として病院勤務していた頃、死を宣告された患者たちの心を癒せるのは科学でないと知った。

        ''科学は人間が生きる意義を説明できない''

 末期患者たちは宗教に救いを求めていた。疑いながらもキリスト教徒たちと対話を深めっていったコリンズは、カスケード国立公園にハイキングに行った時、美しい大自然に囲まれて創造主の存在を確信した。全身を貫く感動に耐え切れずその場に跪いた。''私は神に降伏したんだ''。その後、コリンズ博士はギター片手に賛美歌を歌いながらハーレーで各地を回って福音派の若者たちに科学の道を誘っている」、「進化や遺伝のシステムこそ偉大なる神の御業だ。それを研究するのは神への冒涜ではなく、神の探求なのだ」。
 「そもそも近代科学は神の創造したこの世界を知り尽くしたいという信仰心から生まれた。ケプラーもニュートンもパスカルも科学者であり神学者だった。だからコリンズ博士は変でなくて最も正統な科学者なのだ」。

 私は町村智浩氏の科学と科学者に対する見方に全く同意します。科学万能主義というのは宗教万能主義と同じような独善性、狂信性を人間と人間社会にもたらし、人間と人間社会を荒廃させます。絶対的尺度で物事を断罪する人は人間と人間社会を弾劾する自らの尺度の異常性に気付かないため、尺度にはずれた人間に対する測隠の情や人間的温かさに欠落する傾向があります。
 こうした絶対的尺度というのは科学や宗教の世界のみの問題でありません。政治や社会思想の中にも見られます。政治や社会思想は科学や宗教より、より一層多様な言葉の世界なので、思想は類型化され簡単に人間や社会を断罪する道具になります。人間や社会現象を非常に簡単に独善的に排他的に断罪します。
 事実そのものを考え評価するのでなく、自らが信ずる「主義」の鋳型に事実を流し込みレッテルをはり評価するのです。このような思考する人々は主義、主張する内容が全く異なっても一定の型があるようです。
 
 私の学生時代昭和30年代末から40年代始めの頃はまだ学内のさまざまな紛争が絶えない時代でした。そうした中で、今でも記事の場面が鮮明なのですが、週間新潮のコラム欄に載っていた作家の三島由紀夫氏の次の言葉に目が覚まされました。
 「絶対的平和主義と戦前の神洲不滅、平和憲法と不磨の大典明治憲法、というまるで正反対の思想は、その言葉の意味にかかわらず、最も深い底流ではつながっているのではないか」。記事は少し違った表現だったと思いますが、内容、意味はそんなものでした。
 以来、私はそんな目で世の中を見たり考えてきたような気がします。

 このブログは仏教、とりわけ般若心経をテーマにしているので、少し脱線しました。私は世情の論評などできる柄でないので、この件は終わりにします。

 年の瀬になりました。今年はつたない私のブログにアクセスして頂き感謝します。皆様におかれましては来年も良き年でありますようお祈り致します。新年の第一週は休ませて頂き、第2週の9日から再会致します。

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