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般若心経の空とはなにか

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プロセスと結果 その5

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プロセスと結果 その5

 財務分析は主として貸借対照表と損益計算書をもとに行われます。株式を東京証券取引所に上場しているような大会社や中小会社は、会計監査という信頼性を社会に保証する手続きを経て貸借対照表や損益計算書が公表されるので、その内容には高い信頼性が認められております。

 こうした会社は営業の状況、事業別や製品別や地域別などの損益状況、設備投資の状況、研究開発費の状況、保有する有価証券の状況などさまざまの情報が公開され、その会社の将来性やかかえるリスクを分析する事が可能となっております。以上に加えて資産、負債、資本、収益、費用、各種の利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期利益、当期利益)から各種の分析値が計算されます。例えば、当座比率、流動比率、固定比率、自己資本比率、総資本回転率、各種利益率等々です。こうした各種数値は当該会社の過去の数値との比較(時系列比較)、同業他社比較という、縦と横の比較をし、前述各種情報を加味して経営の良否、優劣が判定されます。

 この財務分析を含む経営分析は主に証券会社、銀行、コンサルタント会社で行なわれ、専門雑誌、新聞、テレビ等により公開され一般の投資家、株主、債権者、取引先、税務当局、労働者や労働組合、市民に伝えられる訳です。
 こうした情報は株式の価格(時価総額=発行株式総数×1株当り株価でトヨタ自動車は高い時25兆円を超えた)に影響を与え、株式の取引が行なわれ、経営者の力量が問われる事になります。

 株式公開会社の財務分析、経営分析は、その会社の業績、潜在力、将来性、かかえるリスクを公開することにより、株式売買取引の公正性、公明性を保証するという公益に資する事を目的とする。だから、もし分析当事者が該当会社と結託して会社情報を操作するような事があれば、まさに犯罪的行為という事になります。

 昨今のアメリカの金融危機ニュースを聞いていると不思議な気がします。証券取引の公正性を実現するための法律と制度が世界一完備し、国民もそれを希求している国が、という思いからです。

 アメリカでは住宅ローンや自動車ローンなどの消費者ローンをその貸手である金融機関がまとめて一つの証券、つまり投資証券として販売します。
 詳しく分からないのですが、事例で説明すると次のようなもののようです。
 銀行が20年返済、50,000千円、利率5%の住宅ローンを100件分まとめて、5,000,000千円、つまり50億円にしたとする。これを1口1,000千円、5,000枚の小分けした証券にして販売すると仮定する。銀行は販売によって一定の利益(例えば55億で販売して5億の利益を得る)を得て、かつ50億を即座に回収して、さらに住宅ローンとして貸出し出来る事になります。
 住宅ローンにはプライムローン、サブプライムローンがあり、前者は通常の銀行融資条件に見合う信用力ある相手、後者はその条件に見合う信用力ない相手に対するローンです。後者には、金利を高くする、最初の5年間は金利の支払いだけで元金返済は6年目以後にするなどの条件を付したローンです。
 ここで例えば、融資先100件の内20件が返済に滞り不良債権化したとします。通常の銀行ローンのままだと個別に厳重に管理されているから、差し押さえと競売等により債権の回収を計ります。そうした手続きにより20件分10億(50,000千×20件)の内、40%回収したとすると、損失は10億×(1-0.4)=6億です。つまり50億の債権の内6億円の損失が発生した事になります。

 これが5,000枚の証券にされ世界中に売りさばかれているとそうはいきません。一部が不良債権化しても50億円全体の信用にかかわります。そうした証券は投資物件としては不適とされ買手がなくなります。買手次第で50億円が40億円にも30億円にも値下がりする事になります。サブプライムローンがそのような状況になると通常の住宅ローンだけでなく、自動車ローン等、証券化された全てのローンに波及します。こうなると現代の会計のルールでは有価証券は時価で評価する事になっているので、世界中の会社、年金基金などの団体は評価損を計上しなければなりません。勿論、個人も売れば同じ損失を被ります。
 例えば世界中にそうした評価対象の有価証券が500兆円あるとすると、20%評価減で100兆円、30%だと150兆円もの損失が潜在する事になり、会社、団体はその時その時で損失を公表しなければならないのです。今回の金融危機に底が見えないというのはそうした恐ろしさがあるのです。対象有価証券が500兆円から600兆円に広がるのではないか、評価減が40%にも50%にもなるのではないか・・・。世界中がまさに疑心暗鬼の中にある訳です。
 この際、こうした投資証券の元本償還を保証会社が保証し、格付会社が投資証券を格付けしたものを投資銀行や証券会社が売買するという仕組みになっているようです。そしてその仕組みによる投資証券の償還が不能となる確率は、一億分の一というくらいでほとんど0と等しいとノーベル経済学賞を授賞した学者が太鼓判をおしていたケースもあるそうです。
 保証会社はすでに破綻しており元本償還は無保証の状態です。元本償還は可能として住宅ローン等の証券化を容認した格付会社は責任をとりません。これではアメリカの仕組みを信用して買った世界中の投資家はこれではたまったものでありません。 
 消費者ローンを投資証券化した銀行、保証会社、格付会社、投資銀行や証券会社、関与した学者というアメリカの金融社会がもたらした世界的規模の一大金融詐不祥事みたいなものです。
 アメリカ発のこの事態は、全て経営を外部の第三者が経営分析し、財務分析して評価するという事から発生している訳で、その事の恐ろしさ、難しさを示していると云えるでしょう。
 話が又、又、わき道にそれてしまいました。
 私が行う財務分析とは、以上のようなものでなく、私個人の顧問先会社のためのものです。もっと具体的に云うと、その会社の利益のため、その会社の社長のための仕事です。
 ひたすら顧問先会社の利益のための仕事だから簡単のようで、そうでもないのです。ここで「プロセスと結果 その1」から続いてきたテーマの本題にやっとたどりつきました。
 次回、その事についてお話ししてみます。

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